「英語の無生物主語の日本語への訳し方はムダ」
■英語と日本語は別の言語
こう言ってしまうと、至極当たり前の話になってしまいますが、英語と日本語は別の言語です。
そのため、英語には日本語にない表現もありますし、逆に、日本語には英語にない表現もあります。
先日、ノーベル平和賞を受賞したケニア出身の環境保護活動家の、ワンガリ・マータイさんがお亡くなりになったというニュースが流れましたが、マータイさんは、「もったいない」という言葉をよく使っておられました。
「もったいない」という意味の英単語、というのではなく、日本語の「もったいない」をmottainaiとそのまま使っていました。
これは、「もったいない」というニュアンスを持った表現が、ほかに見当たらなかったためです。
辞書を引くとwastefulとか出てたりしますが、ニュアンスが違い、どちらかと言うと「ムダ」という方が近いかもしれません。
このように、日本語、英語に限らず、言語が2つあれば、
「言語Aにはあるけど、言語Bにはない表現」
「言語Bにはあるけど、言語Aにはない表現」
というものが存在します。
私のアメリカ人の友人で、少し日本語を話せる人がいるのですが、彼が言うには、
・もったいない
・しょうがない
・どうも
も英語にはない表現で、とても便利だそうです。
■英語にはあって、日本語にはない表現
「もったいない」「しょうがない」のように、日本語にはあっても、英語には表現があるように、英語には日本語にない表現もあります。
例えば、
His beard makes him look older.
という表現。
直訳すると、
「ひげが彼を年上に見せる」
となりますが、日本語ではこういう言い方はしません。
日本語では、
「ひげのせいで、彼は年上に見える」
と表現します。
「ひげが彼を年上に見せる」でも意味はわかりますが、純粋に日本語ではこうは言わない、日本語にはこういう表現方法はないのです。
■日本語に訳して逃げている?
しかし、日本の英語教育は、英語を日本語に訳して理解するように教えます。
そのため、
His beard makes him look older.
のように、「人間じゃないものを主語にする」英語の表現を、「無生物主語」と呼び、
「主語を原因のように訳すようにすれば自然な日本語になる」
というように、訳し方を教えます。
・通訳や翻訳者を目指している
・和訳問題が出題される試験を受ける(大学入試、大学院入試など)
というのであれば、こういったテクニックも身に付ける必要があるでしょう。
通訳や翻訳者は、英語を理解できるだけでは不十分。日本語に訳せるだけでも不十分。
「意味がわかればいい」ではなく、自然な日本語にする必要があります。
和訳問題に関しても、採点官によっては、「英語を理解しているかどうか」だけではなく、「日本語として自然かどうか」まで見る人もいます。
しかし、そうでなければ、日本語に訳す必要などまったくありません。
通訳や翻訳者を目指しているわけでもない、和訳問題が出る試験を受けるわけでもないのなら、英語学習の目的は、
「読んだり、聞いたりした英語を理解できること」
「正しい英語を話せる、書けるようになること」
であり、
「綺麗な日本語に訳せるようになること」
ではないはずです。
「英語を理解する」ということなら、
「主語を原因のように訳すようにすれば自然な日本語になる」というテクニックを身に付けるなど必要ありませんし、
「ひげのせいで、彼は年上に見える」
と訳す必要はありません。
むしろ、
「英語特有の表現をそのまま理解しようとせず、日本語に訳して逃げている」
と言えます。
「もったいない」「しょうがない」の例のように、自分の母国語にない表現だったら、外国語のまま理解した方が理解度は深いのですから、
「英語を理解する」
という目標にはむしろ逆効果と言えます。
■「何が言いたいか」を理解すること
日本語に訳したりするのではなく、もっと「何が言いたいのか?」に注目すべきです。
His beard makes him look older.
は、日本語にはない表現で、理解しづらいかもしれません。
でも言いたいことを論理的に考えれば、
「his beardが原因である。その結果として、himがolderに見える」
というように、論理的に因果関係が理解でき、「何を言いたいのか」がわかるのです。
あまり日本語の字面にとらわれていると、英語学習にはマイナスになることが多いです。
それは今回の例に限りません。
日本人がよくやる間違いで、「疲れた」をI was tired.としてしまったりします日本語では「疲れた」と過去形なので、そのまま過去形にしてしまうのです。
確かに過去に疲れていた。例えば、
「一昨日は夜11時に帰宅して、疲れた」
というのなら、これは一昨日の時点で疲れていた過去の話なので、was tiredです。
しかし、
「やっと仕事終わったよ。あー、疲れた」
というのなら、疲れているのは今です。ですから、I am tired.が正しいのです。
私は日本語は母国語なので、日本語の文法はわかりません。なぜ、現在のことなのに、「疲れた」と過去形で使うのかはわかりません。
でも、英語では、今疲れているのなら、I am tired.
疲れていたのが過去なら、I was tired.
と論理的に使い分けます。
日本語訳の字面にとらわれていると、このように英語学習ではマイナスが多いのです。
そうではなく、「何が言いたいのか」に着目すべきです。
■英語の正しい読み方を身に付けるには
以上が今回のお話になります。
どうしても、日本では英語を日本語に訳して読むように習うため、日本語に訳すクセがついている方が多いのですが、それには非常に大きなマイナス面があります。
通訳・翻訳者を目指したり、和訳問題が出る試験を受けるのでなければ、日本語に訳す技術は必要ないのです。
わざわざそういう技術を身に付けるのはムダな労力を使いますし、逆に、日本語訳にとらわれるとマイナス面もあります。
それこそ、日本語訳にとらわれてムダな労力を使うのは、もったいないです。
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